①どろ海中より夫婦のひながた
2021年01月08日
今からおおよそ9億10万200年ほど前、この世は、どろ海でありました。
そんなどろ海の中には、月日両神しかなく、月様、日様は、この混沌たる様のどろ海を眺めていても親と慕うものもなく何の楽しみもない、味気ないと思召され、話し合われます。そこで思いつかれたのが、人間を創り、その人間が陽気ぐらしする姿を見て、神も共に楽しもうということでした。
眺めていても何の楽しみもないと思われたどろ海の中をよく見澄まされると、たくさんのどぢよの中に、うをとみとが混じていました。夫婦のひながたにしようと先ずこれをお引き寄せになり、その一すじ心なるのを見澄ました上で、「最初に産みおろす子数の年限が経ったなら、宿し込みのいんねんある元のやしきに連れ帰り、神として拝をさせよう」と、約束し、承知をさせて貰い受けられました。
次にどろ海の中より今度は、乾の方角からしやちを、巽の方角からかめを呼び寄せられ、これにもまた承知をさせて貰い受け、食べてその心味わいを試し、その性を見定めて、これらを「男一の道具、及び、骨突っ張りの道具」また、「女一の道具、及び皮つなぎの道具」とし、それぞれをうをとみとに仕込み、男、女のひな型と定められました。
そして、この男雛型・種の理にいざなぎのみこと、女雛型・苗代の理にいざなみのみことと神名を授けられ、その道具である男一の道具、及び、骨突っ張りの道具には月よみのみこと、女一の道具、及び皮つなぎの道具にはくにさづちのみことと、それぞれの道具の理にも神名を授けられました。
文責・黒木陽助